重石(じゅういし)とは
仁保の重石は、「犬鳴の滝」や「浅地の滝」とともに、「仁保三景」の一つに数えられています。 東園地区にあり、ふもとから20分ほど山道を登ったところにあります。
重石は白亜紀の花崗岩からなります。高さは、登山道の上部の花崗岩も加えると約26mあり、横幅は約5mあります。 重石には三方向の節理(南北方向と東西方向の高角度の節理と水平方向の節理)が顕著に発達します(写真1)。
このように直方体の方状節理の発達が見事で、石を重ねたように見えることからその名がつけられました。 重石の下部には10〜30度程度の勾配でS字状ナメ滝が流れています。ナメ滝には流れ盤の低角節理面が発達しています。
重石の地形と特徴
上空から撮影した重石を見ると、重石付近で滝の流路方向は北西から南西へと変化しており、北側には重石がそびえ立つのに対して南の対岸側はなだらかな地形になります(写真2)。
そのことから、重石側はS字状に流れる沢水のあたる面となるために節理にそって周辺花崗岩の侵食が進んだことが推定されます。ナメ滝の表面は綺麗に磨かれた花崗岩からなり、砂や泥などの堆積物は一切認められません。
このことは、この滝では侵食作用のみが進行し、堆積作用は行われていないことを示します。隆起に伴って河川の下方侵食(下刻)が進み、このような滝が誕生し、侵食に取り残された部分は重石となってそびえ立っているものと推定されます。
https://youtu.be/7QmXPcUXIyE
重石のドローン撮影映像へリンク(youtube)
重石の岩石鑑定
岩石名は黒雲母花崗岩。重石もナメ滝も類似した中粒〜細粒の黒雲母花崗岩で構成されます。肉眼で透明な石英、サーモンピンクのカリ長石、白色の斜長石および黒雲母が識別できます。やや斑(まだら)状です。
斜長石にはアルバイト双晶が見られ、比較的大きな結晶とカリ長石に包有される小さな結晶が見られます。カリ長石には塵(ちり)状物質があります。黒雲母は淡黄色、褐色の多色性を示し、産状より斜長石や石英より後で晶出したことが分かります。
登山者の方へ
圧巻の景色で自然の偉大さを体感できる「重石」と、清らかな流れで癒しを感じられる「ナメ滝」をあわせて、仁保の魅力ある自然をお楽しみください。なお、現地周辺は危険な箇所がありますので、決して無理をしないよう、どうぞ安全な登山をお楽しみください。
場所
重石の位置はこちらです。